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高校生がデザイン会社に乗り込んできた話【後編】〜デザインだけでは売れない理由〜
社風 2026年1月31日

高校生がデザイン会社に乗り込んできた話【後編】〜デザインだけでは売れない理由〜

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ARCHECO採用チーム

ライター

「デザインを良くしてほしい」——その依頼を受けるだけでは、本当の課題は解決しない。代表・須斎が17歳に伝えた、UXデザインの本質とは。

前編では、高校生の三宅くんが自作の「割り勘アプリ」を持ってARCHECOを訪ねてきた経緯をお伝えしました。デザインを良くすればお店に導入してもらえるはず——そう考える三宅くんに対して、代表の須斎が口を開きます。

「デザインの改良だけはお受けできません」

「三宅さん、申し訳ありませんが、デザインの改良だけをお受けすることはできません」

三宅くんは驚いた様子で聞き返します。

「なんでですか?」

「三宅さんは、このアプリが売れないのは表面的なデザインに問題があるとお考えのようですが、それさえ良くなれば、お店はアプリを導入するでしょうか?」

クライアントが気にするのは「費用対効果」だけじゃない

須斎は続けます。

「三宅さんが描いた流れはこうでしたね。アプリを使うことで会計時間が短縮される、だからお店は業務効率を改善できる、だからメリットがあるのでアプリを導入する。確かに、この流れに沿ってイメージすれば、一見うまくいくように思えます」

「でも、これで業務効率が改善されるとアピールしたとしても、お店側はお金を出しませんよ」

三宅くんは戸惑います。「えっ、どうしてですか」

「クライアントがサービスの購入を検討する時、心の中では二つの感情がせめぎ合っています。それは、期待と不安です」

「期待」と「不安」のせめぎ合い

須斎の説明は続きます。

「費用対効果は、お金などの数字に換算できる物理的な判断基準。それに対して期待と不安は、クライアントの心理的な判断基準です」

「大切な会社のお金を出す側からすると、いくら提案されたサービスの費用対効果が優れていても、『実際に、この通りうまくいくのだろうか...?』と心理的に不安を感じるものです」

提案する側は、不安より期待が上回る状態にクライアントを導かなければならない。では、それには何が必要なのか。

「必要なのは確かなもの、過去の成功事例ブランド力などです」

無名の個人ができる3つのこと

三宅くんのアプリにはまだ成功事例がなく、個人が手掛けるため社会的なブランド力もありません。それでは諦めるしかないのか——そんな三宅くんに、須斎は3つの方法を提案しました。

①テスト環境で小さな成功事例を作る

「大手ファミレスへの導入は難しくても、知り合いの飲食店に1週間だけ使ってもらうことならできるかもしれない。『このお店でアプリを導入したら、バイトの作業量が減りました』という実績があるだけでも、聞き手の印象はずいぶん変わります」

②アプリにユーザー数をつける

「あらかじめアプリにユーザーをつけておくことで、クライアントにとっての潜在ユーザーを提示し、期待感を高める方法です。いきなり店舗に売り込まず、まずユーザー獲得から目指すといいかもしれません」

③デザインの力

「そして最後に、デザインの力。スタートアップでも、デザイン性の高いモックアップを作って投資を受けるケースは多いです」

デザインが価値を発揮する条件

ここで三宅くんは食いつきます。「デザインにそれだけパワーがあるなら、僕のアプリもお願いします!」

しかし須斎は、ここで重要なことを伝えます。

「デザインが価値を発揮するには、条件があります。それは、根本のサービス設計が正しいことです」

「どれほどデザインが素晴らしくても、その基礎となるサービスの設計自体に間違いやズレがあれば、意図しただけの効果をユーザーに与えることはできません。優れたデザインとは、優れたサービス設計の上に成り立つものなんです」

デザインは「見た目を作ること」ではない

三宅くんはこう答えました。

「確かに、デザインって見た目のことというか、表側を作ることだと思っていました。根本的な設計が、デザインする上でもそれほど重要なんだとは...」

これがまさに、多くの人が陥りがちな誤解です。

デザインとは、単に見た目を整えることではありません。ユーザーにとっての価値を設計し、それを適切な形で届けること。そのためには、サービスの根本から考え直す必要があることも少なくないのです。


17歳でここまで行動できる三宅くんの熱意は本物でした。そして、その熱意があるからこそ、須斎は本気で向き合いました。

「デザインを良くしてほしい」という依頼を、ただ受けることもできたかもしれません。でも、それでは本当の課題は解決しない。ARCHECOがUXデザインで大切にしているのは、そういう姿勢です。

高校生だろうと、大企業だろうと、本質的な部分は変わりません。

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